| ●自由英作文塾・第5日目● | |||||||||||||||||||
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この原稿は,わたくし米Qが英語教育誌に2回にわたり掲載したものを加筆訂正のうえ,再録したものです。英語指導者を想定して書いているために,受験生にはややわかりづらい箇所もあるかもしれませんが,この3日間で学んだことにどんな意義があるのか,また今後どういった点に留意して勉強を進めていけばいいかを知るためにも,ぜひ読み通してください。 はじめに 「受験生が一番効果的に英語力をアップできる方法は何か?」このきわめてシンプルな難題を日々追求しています。 受験生の学力を上げるためには,彼らの間違えやすいポイントを見抜かなければなりません。日頃から受験生のナマの質問や悩みに接している立場から,受験英語学習の最前線を述べることができればと思います。 今回は特に「自由英作文」の指導を取り上げて,全部で2回にわたり現状報告をしていきます。 1回目は,自由英作文の性格・設問要求・解法の手順といった「形式面」のやや抽象的な話を中心にし,2回目は自由英作文の意見・根拠付け・評価といった「内容面」の話を,実際の受験生の答案例をいくつか紹介しながら具体的に述べていく予定です。どうぞ最後までよろしくお願いします。 入試の現状を見てみると… 新課程入試も2年目を迎え,自由英作文の出題が以前にも増して目立ってきました。 従来までのいわゆる和文英作文よりも,自由英作文を出題する大学が確実に増加しています。与えられた日本語を英語に忠実に訳すという「受動的」な英語力の評価に代わって,与えられたテーマに対して自分なりの考えを英語で述べるという「能動的」な英語力の評価がクローズアップされてきたのです。 自由英作文は発信型の英語運用力を測れるという意味では,まさしく文部省の提唱する「実用英語」重視の方針とも連動しているわけです。 自由英作文の種類 もちろん自由英作文には様々な出題形式があります。あるテーマに関して自分の意見を述べるもの。絵や漫画などを見てそのストーリーを説明するもの。手紙の返事を書くもの。有名なことわざや慣用句の説明をするもの。その形式や内容は多岐にわたり,年々その種類も増え続けています。 今回はその中でも一番出題頻度の高い,いわゆる「意見型」の自由英作文(「〜に関してあなたの考えを述べなさい」の形式)に的を絞って話を進めます。 自由英作文への誤解 予備校で日頃学んでいる受験生は「意見型」の自由英作文に対して誤解をしている場合が非常に多く見受けられます。その中でも最も多い素朴な誤解が,「自由英作文は自分の意見を自由に書けば良いんだ!」と単純に信じていることです。 しかしあくまでも大学入試の科目ですから,自由英作文といえども無制約な自由は許されません。受験生の学力をできるだけ客観的に評価して,答案の出来を点数科しなければならない以上,やはり答案が満たさなければならない,ある一定の守るべきルールや条件が存在しますし,厳然たる評価の基準も存在しています。 予備校での自由英作文の講義の冒頭では,まず下のような表を用いて自由英作文の定義を行います。
自由英作文の定義 小学生が書くような「作文(感想文)」と大学院生が書くような「(学術)論文」と自由英作文とを,「独自性・実証性・論理性」の3点を挙げて具体的に説明することによって,受験生は初めて自由英作の本当の意味を納得します。 ・論文のように自分の意見に独創的なオリジナリティーは必要ない。 ・またその意見を綿密なデーターによって実証する必要もない。 ・しかし作文のように自分の感じたことを自由奔放に書いてはいけない。 ・あくまでも論理的に第三者が理解できるものでなければならない。 自由英作文は自由どころか,実は制約が厳しいということがわかるのです。 このように自由英作文のクリアーすべき必要条件を明示することで,かえって受験生は安心感を持ちます。「他の受験生とはひと味違う,採点者をあっと驚かす内容を書かなければいけない!」という,無意味な独創性一発勝負の呪縛から受験生を解放してやり,自由英作文も他の大学入試の科目の勉強と同じように,ある一定の手順を踏んで論理的に考えていけば,必ず誰でも正解に到達できると実感することが何よりも大切なのです。 最終的に自由英作文の定義は,「与えられたテーマについて自分の意見を自由に述べて良いが,あくまでも第三者の理解できるような論理的な書き方をしなければならない」ということになります。結局「論理的な書き方」が出来なければ,いくら素晴らしいことを書いたとしても,他者を納得させることはできません。 自由英作文の論理性とは? それではその「論理性」とは一体何なのでしょうか? 「論理的」な思考や表現とは,簡単に言えば「言葉の正しい使い方をして考え表現する」ということです。それでは自由英作文は英語という言葉で考えなければならないのでしょうか? 確かにネイティブのように英語で考えてそのまま英語で書けるのが理想でしょう。しかし現実にはこの理想はかなり実現が困難だと言えます。受験生の中で(もちろん英語教師の中でも),現実に英語で考えられることが出来る人が一体何人いるでしょうか? ほとんどの受験生は「日本語で考えて,その内容を英語に直す」という2段階のプロセスを踏んでいるのが実情です。 だいたい365日のほとんどを日本語で考え,日本語を使って生活している日本人の受験生が,自由英作文を解く時だけいきなり英語で考えることなど不可能なのです。 予備校ではこのような本当の意味での受験生の実情を踏まえて,無意味な理想主義は捨てて,「日本語から英語へ」という2段階のアプローチを採用します。この様な受験生のレベルから見て無理が一番少ない方法こそが,本当の意味で受験生が最も必要としている情報なのです。 自由英作文の手順 日本語で考えてから英語に直しなさいと教えると,多くの受験生は「日本語で考える」のを「自分頭の中だけで考え」て,そのまますぐに英文に直そうとします。しかしこのようなやり方は適切とは言えません。自分の頭の中だけで考えていると,自分の考えを「客観的に見る」ことができずに,独断的・独善的な内容になってしまいがちです。 入試では自分の答案を評価する他者が存在することを常に意識する必要があります。他者に理解してもらえるためには,自分の頭の中で考えたことを「客観化する」必要があります。それでは,どうすれば「自分の考えを客観化する」ことができるのでしょうか? 一番簡単でありながら最も確実な方法は,「自分の考えを日本語で実際に書いてみる」ことです。 不思議なことに実際に紙の上に書いてみたら,その内容を第三者の視点で再検討することが可能になります。頭の中で漠然としていたアイデアも,それを文字に言語化して視覚的に捉えることで,鮮明なものへと変化するのです。 最初はめんどくさいという顔をしていた受験生も,実際に下書きをしてみると確かに自分の考えがまとめやすく,しかもその内容を客観視できることを自然に納得してくれるようになります。 日本語の下書きが命? このように一見すると極めて単純に思える 日本語の思考→日本語の下書き→英文変換 という手順を踏んでいくことで,自由英作文を確実に攻略できるのです。実際に自由英作文の答案の優劣は,この「日本語で下書きをする」という段階ですでに勝負がついている場合が非常に多く,日本語の下書きの段階で矛盾が出ていたり,内容が不明確だったり,条件を満たしていない答案を,たとえどんなに上手な英語に変換したところで全く得点にならないのは当然のことなのです。 日本語で自分の考えを客観的に述べることができない者に,いったいどうして英語で自分の考えを客観的に述べることができるでしょうか? 自由英作文とはまさに英語の問題でありながら,「その人の持つ日本語の言語能力の有無」にまで迫ってくる問題と言えるでしょう。 下書きの構成 予備校の自由英作文の講義の中盤では,この「論理的な日本語の下書き」を指導していくことになりますが,その際下のような図解を用います。
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自由英作文の守るべきルールである「論理的な書き方」のモデルは,当たり前のことですが,日頃受験生が読んでいるまさに英文(評論文)そのものになります。 大学入試で出題される英文(評論文)は,あるテーマに関して筆者の主張が明確で,その根拠も論理的に書かれているものが大半を占めます。 概してそのような英文は「結論→説明」という「演繹的」な論理展開で書かれている場合が多く,受験生も「いつも読んでいる英文の論理展開を真似すればいい!」とわかれば,自由英作文を書く上でのヒントが具体的なのでスムーズに納得してくれるようです。自由英作文も英文読解と同様に,自分の意見をまず「論理チャート」に沿って「演繹的な」日本語でまとめればよいのだということが,実に自然にわかるようになります。 |
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